今日もハッピー

お客さんの荷物を運ぶと、普通20ペソ(約220円)のチップがもらえます。荷物が多かったり部屋交換を手伝ったりすると、50ペソ(約550円)もらえることがあります。お金持ちの場合は100ペソ(約1100円)もらえることもあります。

真っ黒なおばさんの荷物運びをしました。部屋に入った瞬間、思いました。うわっ、スウィート、、、。どうやらお金持ちのようです。おばさんは僕に荷物の詰め替えを手伝うよう指示しました。スーツケースは5個あり、おばさんの私物や大量の新品の服が入っています。僕は言われるままに出し入れします。

一通り終わると、今度はそれらをタクシーまで運ぶよう指示します。しかしロビーに降りた途端、お腹がすいたのでしょうか、レストランに入ると言い出します。
「お荷物はこちらで預かっておきましょうか？」
「いや、君がレストランの出口で見張っていてちょうだい。」
僕は待つことになりました。おばさんは僕のことなんか気にせずゆっくり食事を楽しんでいます。それを見た先輩が何人も、何故フロントで荷物を預けないのか聞きに来ます。その度に僕は事情を説明します。タクシーの運転手も来ました。どうやら最初からタクシーも待たせていたみたいです。

やっと満腹になったようです。おばさんは満足そうに出て来ました。しかし、今度は両替屋に行くと言い出します。僕はカートを持って同行します。ところが、ブティックの前を通った時、急におばさんは足を止めました。
「ちょっと、ここ寄ってくね。」

僕はまた待ちます。おばさんはまるで僕なんていないかのように、マイペースで買い物をしています。さすが金持ち、買い物も豪快です。手当たり次第掴み、気に入らないとすぐに戻し、最後には10着ほど買いました。

ようやく両替屋に入りました。しかし、レストランやブティックならまだしも、両替屋からもなかなか出てきません。近くにいた先輩が言いました。
「チップ期待できるぞ。アメリカドルで20はもらえるな。」
正直、僕も途中からそれを思っていました。僕を拘束して3時間にもなります。しかも相手は金持ち。

やっと出てきました。
「どうもありがとう。」
そう言って僕に手渡したのは、、、20ペソ札1枚。

ちょ、ちょっと、おばちゃん、、、普通やんっ！